【ネタバレあります。 プレイしていない人は注意してね】
■最初に
ここでは管理人が「ファミコンゲームソフトMOTHERは、私たちにどのようなメッセージを伝え、残したかったのか」を考えてみました。ゲームソフト「MOTHER」、そして現在糸井重里氏メンバーが手がけている「ほぼ日刊イトイ新聞」さらに、クミビューンこと久美沙織氏の小説「MOTHER」を参考にしました。あくまで個人的な意見であるので参考程度に見てもらえるとうれしいです。
■注意
主人公は「ケン」、女の子は「アナ」、友達は「ロイド」もう一人の友達は「テディ」とします。
▼オープニングから伝わること
▼クイーンマリーはどういう位置づけだったのか?
▼ギーグは何者だったのか?なぜ敗れたのか?
▼エンディングはどうなったのか?
▼なぜタイトルがMOTHERなのか?
1900年代のはじめ
アメリカのいなか町に黒雲のような影がおち
一組の夫婦が行方不明になりました。
夫の名はジョージ。妻の名はマリア。
2年ほどしてジョージは家に戻りましたが
どこにいっていたのか 何をしていたのかについて
誰に話すこともなく 不思議な研究に没頭するようになりました。
妻のマリアはとうとう帰ってはきませんでした。
1988年 マザーズデイのまちはずれ
オープニングにこのメッセージが流れ、舞台はいきなり88年後のまちはずれとなります。まずこのメッセージに重要なことがたくさん隠されています。そしてゲーム開始から10分もたたないうちに電話が鳴り響きます。
ケンは受話器をとった。あ、パパだ。
「ふむふむそうか。それはラップ現象だな。
どうすればいいのかはパパにもわからないな。
しかし、ひいおじいさんがPSIの研究をしていたはずだ。
地下室を探せば何かわかるかもしれない。
地下室のカギはどこかにつけておいたんだが…忘れた。
とにかくお前だけがたよりだ。今こそ冒険の時だ。
進めケン!みんなを守ってくれ」
ガチャン ツーツーツー
まずこのことから気づかなくてはいけないことは、ひいおじいさんはジョージであったということです。そして不思議な研究はPSIの研究だったのです。つまりジョージ、マリアたちの子孫が主人公のケンであり、お互い血が繋がっていること、そしてもしかしたらジョージ研究所もまだ残っているのではないか?という疑いも覚えてください。
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ゲーム進行中、最後の場面、メロディが全部集まったかと思うと、主人公たちはいきなり不思議な空間に吸い込まれていきます。そこはマジカント。そしてクイーンマリーはこう言います。
「私があなた達をよんだのです。ケン!アナ!ロイド!テディ!
そしてすべての勇気ある子供たち。今がその時です!
あなた達の覚えてきた歌を私にきかせて」
(ケン達が歌うと、クイーンマリーも歌いはじめた)
「そう。そう…この歌だった」
ケンはメロディーを覚えた
「ああ…ギーグ…。本当の子供のようにかわいがったのに…
しっぽをふってた赤ちゃんだった…子守り歌を…でも…
ああ、ジョージ!あなたの妻のマリアです。
あなたの待つ天国に、私も今からむかいます」
ここで気づく人もいるかもしれません。なんと、あのクイーンマリーはケンのひいおばあさん、マリアだったのです!メロディの存在ですが、結論としてクイーンマリー、つまりマリアの記憶を呼び覚ます「きっかけ」を与えるためのものでした。そしてそれはギーグにも大きな関わりを持っていた歌だったのです。さらにこの文章はもう一つ真実を浮かび上がらせます。最後の文章に注目してください。「あぁ・・・ギーグ・・・」オープニングの文章にも注目し比較すると、全てが結びつきます。
1900年代のはじめ
アメリカのいなか町に黒雲のような影がおち
一組の夫婦が行方不明になりました。
暗雲のような影は宇宙人の円盤、つまりUFOではないでしょうか、UFOが地球に落ちたのです。
夫の名はジョージ。妻の名はマリア。
2年ほどしてジョージは家に戻りましたが
どこにいっていたのか 何をしていたのかについて
誰に話すこともなく 不思議な研究に没頭するようになりました。
妻のマリアはとうとう帰ってはきませんでした。
2年ほどしてジョージは家に帰ってきていますが、2年間どこにいっていたのでしょう?それはギーグの住んでいた星なのではないでしょうか。つまり宇宙人の乗っていた円盤の中にはギーグというしっぽを振っていた赤ん坊が閉じ込められていた。船内には赤ん坊一人で乗客らしい姿はなく、トラブルで地球に落ちたとしか考えようがありませんでした。そのころのギーグはとても残虐な生物には見えなく、むしろ守ってあげたい生命に見えたのかもしれません。なにせ赤ん坊なのです。
二人はおそろおそろ宇宙船に近づき、赤ん坊を目の当たりにします。そして二人が呆然としていると船内のトラブルで急に円盤が動き出し、ギーグの星まで行ってしまうプログラムが組まれてしまうことに。ところがマリアは落ち着いていました。「私はこの子(ギーグ)を育てる。私たちの命もきっとこの子の星にいけば、敵視され、すぐに尽きるかもしれません。ただ私はこの子に義理ではなく、ありったけの愛情を捧げます。それは生命を守るという人間の正しい行為だと思います。」そしてマリアは歌います。子守唄となる歌を。なんとこれがエイトメロディズだったのです!
そしてギーグの生まれ故郷の星につくと、相手にとっては未知なる生物なのですが、敵対心はなかったのでしょう。そうでなければジョージが地球に帰ってこれるわけがありません。ジョージとマリアは攻撃されるどころか、歓迎されたのです。そう、ギーグはこの星で一番大切にされている子だったのです!二人がギーグの星に住んで2年になろうとしていたころ、やはり環境が違うせいなのか、マリアは病に犯されました。何度もジョージは地球に帰ろうと言うのですが、マリアはギーグを育てた恩人。ギーグの星では皆に尊敬され、感謝され、とても動くことができません。
ある日、ジョージはとんでもない情報を聞いてしまいます。「地球の大人たちを私たちの星に連れてこよう。」それはとても恐ろしい話でした。ジョージはマリアにこの事を話すと、マリアはベッドから見える窓の景色を見て、こう言います。「…ジョージ、私の命はもう長くありません、あなたが地球を守って。私はいつまでもあなたの見方よ。」そっと互いの手が重なり涙のしずくが落ちます。お別れの時です。そしてジョージは次の日、ギーグ星から必死で逃げます。ようやく地球に帰ったジョージは2年間培(つちか)ってきた彼らの魔法(PSI)を研究してきたこともあり、さまざまな発見をしました。そのなかにはやがて来るであろうギーグたちを、PSIでなんとかできるかもしれない、地球を救えるかもしれないという希望も発見したのです。
※余談:クイーンマリーも然りですが、社会的な要素で考えてみるとクイーンマリーが住んでいた「マジカント」は人間が必ず持っている「理想像」のシンボルだったのではないでしょうか。自分の命を捨ててまで守ってくれたフライングマン、あなたが大好きですと、言ってくれる子供たち、異性、仲間。衣食住、人間のすべての要求を満たしてくれているマジカント。その甘い香りがする世界(理想)はやはり現実には絶対に存在しないのです。マジカントが一瞬で消えるこの印象的な場面は「こんな世界があっても、いいのかもしれないが、やっぱり、、、ないんだよ。」といった糸井さんの声が聞こえてきます。
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ギーグは1900年代のはじめアメリカのいなか町に黒雲のような影がおちたとき船内に乗っていた宇宙人の赤ん坊でした。ギーグとの戦闘場面で、このようなメッセージが流れます。このメッセージから読み取れるのもたくさんあります。
「ケン!
あなたの一族には本当にお世話になっています」
つまりケンのひいおじいさん、ひいおばあさん、ジョージとマリアのことを意味します。ギーグは船内トラブル、により地球に不時着しました。この時、お世話をしたのがジョージとマリアだったのです。
「幼いわたしを育ててくれたジョージの妻…マリア」
マリアは船内や、ギーグの星でギーグを世話したのです。ギーグが赤ん坊だったころ、マリアはギーグに子守唄を歌ってあげました。それがエイトメロディズ。
「わたしたちの星から大切な情報を盗み出して
わたしたちにはむかおうとした…ジョージ」
ジョージは地球の危機と感じ、命がけでギーグの星から逃げ延びます。盗み出した情報はPSI研究。この力でなんとかギーグたちの野望を阻止しようと逃げたのでした。
「そしてその夫婦の子孫
またわたしたちの計画をジャマしようとしている…
ケン!あなたのことだ」
計画とはおそらく「大人たちを奪う、もしくは使う」という計画だったのでしょう。何のために使うのか、そのあたりまでの詳細はわかりませんが、ジョージ研究所にあった「大人たちの入ったカプセル」を見ると、少なくともギーグは幼稚でエゴイストな考え方をもった生物だったに違いありません。
「もうお帰りなさい
みにくい地球人たちと共に滅びてください」
「そのむしけらのような力ではどうすることもできない」
「ケン…あなただけ、一人だけなら助けてあげてもよい。
わたしと共にマザーシップに乗りなさい」
これはやはりマリアに育ててもらった「恩」としてケンを贔屓(ひいき)したのでしょう。そしてケンたちは集め覚えたエイトメロディズを歌い上げます。ギーグは昔マリアが歌った子守唄エイトメロディズに本能が刺激され、自我崩壊したのです。
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ギーグが自我崩壊し、地球から遠ざかっていきます。「勝った!!」と思った瞬間、いきなりスタッフロールが流れ「うそっ?!」「もう終わり?!」「エンディングらしいイベントないの?!」と思った人がたくさんいると思います。そう、MOTHERにはエンディングらしいエンディングがないのです。「あとはご自分の想像にお任せいたします。」というような流れで終わっていきます。が!!実はなんと、英語版で発売予定であったMOTHER1、「EARTHBOUND
0」にはしっかりとしたエンディングがあったのです!!実際の情報はプロトタイプでプレーした人からであり、なんともうらやましい限り。しかもMOTHER2のようなエンディング光景を迎える形となっています。
ギーグを倒したあと、大人たちはちゃんと解放されます。テディは体調がしっかり良くなり、ライブショーを開いています。開放された大人たちは子供たちの町にいき、抱きしめあう画面が映し出されます。次にアナとのお別れ、教会にて「あなたたちのこときっと忘れないわ。」と言い残しお別れします。次にロイドとのお別れです。ロイドは学校の友達により胴上げされる画面が映ります。そして実家に帰る主人公。扉の前にはママや、妹の姿が見えます。平和になった証拠です。
さらにその後の光景もあるという贅沢な設定内容。アナはケン(主人公)にもう一度会いたいという、気持ちいっぱいになって手紙を書いている光景が描かれます。ところがケンは地球の危機は過ぎ去った、もうすこし寝かせてね、という感じで帽子をとりベッドで寝ている姿が。あらら。そして最後にケンの父親の後ろ姿が現れます。電話を片手にこのようなメッセージが残されるのです。「私はケンが家にいることを知っている、ケンよ、電話にでてくれ。新しいことがたくさん迫ってきている・・・」やはり最後はシリーズ2の予兆を感じさせる展開だそうです。
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※タイトルMOTHERの謎は解明されました。詳細はこちらに移動してください。
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